LLM(大規模言語モデル)はどんなAI?概要から活用例までわかりやすく解説

私たちの日常に浸透しつつあるAI技術。中でも、目覚ましい進化を遂げている「LLM(大規模言語モデル)」は、スマートフォンやパソコンを通じて、私たちが日々触れる機会も増えています。

本記事では、この身近になりつつあるLLMの基本的な仕組みから、生成AIとの違い、具体的な活用事例、そして今後の展望までをわかりやすく解説します。

LLMとは?-概要と仕組み-

LLM(大規模言語モデル)とは、膨大な量のテキストデータを学習し、自然な言語の文章を理解・生成できるAIモデルのことです。 例えば、人が「今日は寒いね」と言ったときに、「そうだね、暖かい服を着たほうがいいね」と自然に返答することができます。

大量のテキストデータから学習することで、人間の言葉の裏に隠された意図や文脈を理解することができます。単に事実を返すだけでなく、状況に合った適切な応答を生成できるのがLLMの力です。

LLMは、「ニューラルネットワーク」と呼ばれる人間の脳の仕組みを模倣した技術を使用した、機械学習モデルを使って動作しています。 その仕組みを簡単に説明すると以下のようになります。

①テキストデータを大量に学習

インターネット上の書籍、記事、会話データなどを学習する。
どの単語がどの単語の後に続きやすいかを統計的に学習する。

②トークン化 ・文章を「単語」や「文字」の小さな単位に分解(トークン化)

たとえば「今日は寒いね」 → 「今日」「は」「寒い」「ね」というように分解する。

③文脈の理解 ・分割されたトークン間の関係性を分析し、文章全体の文脈理解

この際、「Transformer」と呼ばれる深層学習モデルが重要な役割を果たす。Transformerは、文章中の各単語の重要度を計算し、文脈に応じた適切な解釈を可能にする。

③予測して文章を生成

「今日」は「寒い」などの関連性をもとに次の単語を予測する。
確率が高い単語を選び、自然な文章を作成する。

つまり、LLMは 「文章を予測するAI」 というイメージです。

生成AIとは何が違う?

LLM(大規模言語モデル)と生成AIは、混同されがちですが、異なる概念です。

生成AIは、既存のデータから学習し、新しいデータ(テキスト、画像、音声、動画など)を生成する人工知能技術の総称です。つまり、広範囲なAI技術を意味しています。
例としては、画像生成AI(Stable Diffusion、Midjourneyなど)、音声生成AI、動画生成AIなどがあります。

一方、LLMは大量のテキストデータを学習し、人間のような自然な文章を生成・理解する生成AIの一種です。
したがって、LLMは生成AIのカテゴリーの中に含まれます
テキスト生成に特化したAIモデルであり、例としてはGPTシリーズ、BERT、LaMDAなどが挙げられます。

全てのLLMは生成AIですが、全ての生成AIがLLMという訳ではありません。生成AIとの違いは、「LLMは言語専門」「生成AIは画像・音楽など幅広い」と理解するとわかりやすいでしょう。

 LLMの活用例

文章に特化したAIであるLLMは、主に以下のような活用がされています。

  • チャットボット:顧客からの問い合わせに自動で応答
  • 文章生成:記事や小説、レポートなどの作成
  • 翻訳:多言語間の翻訳
  • 質問応答:質問に対して適切な回答を提供

実際に企業がLLMを活用している事例は以下です。

  • メルカリ、LLM(ChatGPT)を活用し膨大な商品データを新しいカテゴリに短期間で分類(参考:mercari engineering
    • ChatGPT3.5turboとkNN(k近傍法)を組み合わせた2段階アプローチを採用し、効率的なカテゴリ分類システムを実現。
    • 30億点を超える商品の大規模カテゴリ分類に成功し、コストと処理時間の大幅な削減を果たした。
  • 株式会社日本経営、株式会社JINGSと共同で、LLMを活用し医療データのテストデータを自動生成(参考:JINGS
    • LLM(生成AI)とルールベースの組み合わせによるテストデータ自動生成。
    • テストデータ作成時間の大幅な削減、システム開発の検証プロセスを大幅に効率化を実現。

弊社atarayoでもLLMを活用し、競合調査AIサービス、対話型ペルソナAIツールを展開しています。
競合調査AIでは、LLMを活用することで膨大な量の競合情報の比較、分析を可能にしています。また、対話型ペルソナAIツールは、LLMを活用することで、市場データ、競合データ、サービス情報を収集・分析しペルソナを構築した上で、そのペルソナとの会話が可能となっています。

高性能なAIプラットフォームが続々と登場

近年、ChatGPTやClaude、Gemini、DeepSeek、Grokなど、LLMを活用したAIプラットフォームが続々と登場しています。主なAIプラットフォームの各特徴については、以下をご覧ください。

▶︎AIプラットフォーム-2025年AIトレンド4選|注目のAI技術と社会への影響

各社は、競うように常にアップデートを重ね、性能向上を図っており、ChatGPT、Claudeはともに、2025年2月にそれぞれGPT-4.5 、Claude3.7をリリースしています。

アップデートにより、ChatGPT-4.5は、より自然な対話、広範な知識ベース、ハルシネーションの低減、そしてマルチモーダル機能の強化に重点を置いています。
一方、Claude 3.7は、初のハイブリッド推論モデルとして、迅速な応答と深い思考の両立、特にコーディング能力と複雑な推論タスクにおける優れた性能、そして開発者向けの強力なツールであるClaude Codeを提供しています。

このようなアップデートにより、LLMはさらに進化し、社会やビジネスに革新をもたらします。より人間とのコミュニケーションが取りやすくなったり、情報検索と知識が深化することで、膨大な情報から必要な情報を瞬時に抽出し、高度な分析や要約が可能になります。また、複雑な質問に対しても、深く掘り下げた回答や洞察が得られることが期待できます。

現在のLLMの課題

LLMは、目覚ましい進化を遂げ、さまざまな分野で活用されていますが、同時にいくつかの課題を抱えています。まず、LLMは膨大な量のテキストデータから学習するため、そのデータに含まれる偏見や誤った情報を学習してしまう可能性があります。その結果、差別的な発言や事実と異なる情報を生成してしまうことがあり、社会的な問題を引き起こす懸念があります。

また、LLMは確率的に単語を生成する仕組みのため、もっともらしい嘘、いわゆる「ハルシネーション」を生み出すことがあります。これは、特に情報源の信頼性が低い場合に顕著であり、誤情報の拡散に繋がる危険性があります。さらに、LLMの内部でどのように情報が処理され、出力に繋がっているのかが完全に解明されていないため、意図しない有害な情報や、倫理的に問題のあるコンテンツが生成される可能性も否定できません。

著作権に関しても課題があります。LLMが学習データとして利用するテキストには、著作権で保護されたコンテンツが多数含まれており、生成された出力が著作権侵害に該当する可能性があります。また、個人情報や機密情報が学習データに含まれていた場合、プライバシー侵害のリスクも考えられます。

これらの課題に対処するためには、技術的な対策だけでなく、倫理的なガイドラインや規制の整備が不可欠です。LLMの開発者や利用者は、これらの課題を十分に理解し、責任ある行動を心がける必要があります。

atarayo 代表取締役 加藤のコメント

AIが仕事を奪うことに不安を感じる方も多いと思いますが、まず大切なのは「AIとは何か」を正しく理解することです。

AIは予測やデータ分析、タスクの自動化などさまざまな機能を持ちますが、最終的な判断や使い方を決めるのは私たち人間です。つまり、AIそのものが仕事を奪うのではなく、「AIを効果的に活用できる人」が競争優位性を持つ時代になっていきます。

atarayoでは、AIを正しく理解し、適切に活用することで、企業と社会の発展に貢献してまいります。

株式会社atarayo 代表取締役社長
加藤丈峰