【複数広告チャネルのデータ統合術】効果的なマルチチャネルダッシュボードを作成
複数の広告チャネル戦略を採用している企業にとって、異なるソースからのデータを一元管理し、迅速に意思決定を行うことは極めて重要です。ここで役立つのが「マルチチャネルダッシュボード」です。このツールは、複数のチャネルにわたるパフォーマンスデータを統合し、視覚的にわかりやすい形で情報を可視化できます。
この記事では、マルチチャネルダッシュボードの基本、その必要性、構築の課題、そして具体的な構築方法について解説します。
1.はじめに
1-1.マルチチャネルダッシュボードとは?
マルチチャネルダッシュボードは、各広告チャネルのデータを統合・可視化したダッシュボードで、マーケティング活動全体の実態を正確に把握し、迅速にPDCAサイクルを回すために活用されます。複数のチャネルでマーケティング活動を展開する企業において、必要不可欠なツールです。
1-2.なぜ、マルチチャネルダッシュボードが必要なのか?
- 課題認識の共有
- 検索型広告、ディスプレイ広告、SNS広告など、各チャネルごとに異なるデータ環境が存在し、担当者が分かれていることも多いため、各チャネルごとの改善に終始してしまいがちです。 マーケティング活動全体の効果を正確に把握し、効果的な改善を進めるためには、すべての数字を一か所で管理し、意思決定者と各チャネルの運用者が共通の課題認識で行動できる環境が必要です。
- 運用業務の生産性向上
- マーケティングの運用担当者は、データの集計作業や報告資料の作成など、本質的でない業務に多くの時間を割いているのが現状です。 ETLツールやBIツールを活用してデータの収集や集計を自動化し、消費者や競合企業のトレンド把握、施策の分析・改善などの本質的な業務に集中できる環境の整備が必要です。
1-3.構築における課題
- データの統合やBIツールの利用にエンジニアリングスキルが必要
- ダッシュボードの構築には、データの統合やBIツールの運用に関するエンジニアリングスキルが必要です。チーム内で適切なスキルを確保することが必要です。
- 構築したけれども活用されないことも多い
- ダッシュボードを構築するだけでなく、事前に意思決定者や関連メンバーを集めて、事業における課題と重要なKPIを整理することが重要です。
2.マルチチャネルダッシュボード構築の全体像
2-1.データ収集、統合、可視化までの全体像
下記画像がデータ収集、統合、可視化までの全体図です。
2-2.構築までの流れ
マルチチャネルダッシュボードの構築には、以下のステップがあります。
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ステップ1.要件定義<事業課題、KPIの整理>
マルチチャネルダッシュボードを構築する前に、事業の課題や重要なKPIを明確にしましょう。これがプロジェクトの方向性を定める重要なステップです。 -
ステップ2.チャネル整理<展開チャネルおよびアカウントの洗い出し>
どの広告チャネルからデータを収集するかを整理します。また、各チャネルのアカウント情報を収集しましょう。 -
ステップ3.データ収集<ETLツールなどを使ってデータをDWHに集約>
チャネルからのデータを抽出、変換、ロード(ETL)するツールを使用して、データウェアハウス(DWH)にデータを集約します。 -
ステップ4.可視化<BIツールでダッシュボードを構築>
ビジネスインテリジェンス(BI)ツールを使用して、データを視覚的に表示するダッシュボードを構築します。ユーザーフレンドリーなインターフェースを作成し、データを分析しやすくします。 -
ステップ5.オンボーディング<社内利用者向けに利用方法を共有>
マルチチャネルダッシュボードを社内利用者に導入するためのトレーニングやサポートを提供し、効果的な利用を促進します
3. マルチチャネルダッシュボードの完成図
3-1.完成図
3-2.ダッシュボードの活用方法
- 定例会議での数字進捗の確認
- マーケティングチームや経営陣は、定例会議でマルチチャネルダッシュボードを使用してキャンペーンの進捗状況や成果を確認します。リアルタイムのデータ可視化により、迅速な意思決定が可能となります。
- 運用担当者が、各施策の進捗確認、傾向分析を行いPDCAサイクルを回す
- マルチチャネルダッシュボードを活用することで、各広告チャネルの運用担当者はデータを分析し、施策の効果を評価し、PDCAサイクルを迅速に回すことができます。これにより、施策の最適化が行われ、効果的なマーケティング戦略が実現します。
4. 構築方法
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ステップ1.DWHへのデータの連携
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ステップ2.各種データを統合
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ステップ3.Looker Studioへのデータ読み込み
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ステップ4.データの表現
ステップ1:DWHへのデータの連携
ETLツール※1 を活用して、BigQueryなどのDWH(データウェアハウス)※2 に各チャネルのデータを連携します。
※1 ETLとは:「Extract(抽出)」「Transform(変換)」「Load(書き出し)」の略で、DWHにデータを統合する作業プロセスのこと。
代表的な製品:trocco、Databeat など
※2 DWH(データウェアハウス)とは:様々なデータを集約・整理したデータベースのこと。データ分析に特化していることが特徴
代表的な製品::Amazon Redshift、BigQuery、Azure Synapse Analytics など
ステップ2:各種データを統合
DWH上で各チャネルのデータを統合し、レポートで集計するためのデータを生成します。
下記画像はデータの生成例になります。
ステップ3:Looker Studioへのデータ読み込み
Looker StudioなどのBI(ビジネスインテリジェンス)ツールを使用して、DWHからデータを読み込み、可視化用のデータセットを作成します。
ステップ4:データの表現
BIツールを使用して、データを視覚的に表現します。チャート、グラフ、表などを活用してデータの洞察を行います。
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5. まとめ
この記事では、マルチチャネルダッシュボードの基本、構築の全体像、アウトプットの活用方法、制作方法について詳しく解説しました。マルチチャネルダッシュボードは、マーケティング活動を効果的に最適化し、正確なデータに基づいた意思決定をサポートする強力なツールです。
atarayoでは、マルチチャネルダッシュボードの構築からデータを活用したマーケティング支援まで幅広くサポートしています。マーケティング活動で課題を感じている方は、ぜひお気軽にご相談ください。