【データから戦略へ】 KPI管理レポートの構築方法4ステップ
組織の成長を加速させ、競争優位を確立するためには、重要な業績指標(KPI)を効果的に管理し、追跡することが不可欠です。この目的を達成するための強力なツールが「KPI管理レポート」です。
この記事では、KPI管理レポートの概要、その必要性、構築における課題、そして具体的な構築手順について詳しく説明します。
1.はじめに
1-1.KPI管理レポートとは?
KPI(Key Performance Indicator)管理レポートは、マーケティング活動全体や広告施策において、効果や品質を計測する指標に重点を置いて可視化したレポートです。このレポートは、単なるマーケティング施策の進捗管理に留まらず、事業全体の進捗管理にも活用することができます。
1-2.KPI管理レポートはなぜ必要なのか
- 迅速な意思決定
- 経営陣や事業責任者は、組織全体の進捗状況や課題を見ながら、常に戦略の見直しやリソース(ヒト・モノ・カネ)の再配分などの意思決定を行う必要があります。 そのためには、リアルタイムで重要指標や課題を把握できるだけでなく、必要な時に必要な情報にアクセスできる環境が必要になってきます。
- 施策のPDCAサイクル
- マーケティング施策を最大化していくためには、トレンドを見ながら高速かつ継続的にPDCA(Plan-Do-Check-Act)サイクルを回していくことが必要です。 施策の進捗だけでなく、傾向や課題などが把握しやすく改善に生かしやすい環境が必要になってきます。
KPI管理レポートでは、事業の進捗状況をリアルタイムで提供するだけでなく、意思決定や試作改善などで、必要な時に必要な情報にアクセスできるデータプラットフォームとしての役割も担っています。レポートを導入することで、組織全体の生産性を上げるだけでなく、マーケティング施策の効果最適化にもつなげることができます。
1-3.構築における課題
- 事業として共通のKPIが定義されていない
- 広告チャネル、機能ごとに組織が分かれていることも多く、部門ごとに個別でKPIが設定される場合も多く存在しています。 事業全体としてKPIレポートを活用していくためには、事業共通のKPIを設定し、そこから領域・機能ごとにKPIを分解して、組織全体として最適化できるように設計する必要があります。
- 継続的なデータの更新、データ品質の管理などの運用が必要
- 計測データについては自動的に取得することができますが、目標データなどは手入力が必要なため、定期的に更新して最新の状態を保つ必要があります。 また、事業の意思決定にも活用するレポートでもあるため、データに問題がないか定期的に確認を行い、集計結果の正確さを担保する必要もあります。
2.KPI管理レポート構築の全体像
-
ステップ1.事業として重要なKPIの整理
事業方針やKGIから逆算して、進捗管理に必要なKPIを明確にします。KPIツリーとしてまとめておくことで、社内の認識統一やKPI見直しを実行しやすくなります。 -
ステップ2.レポート活用の要件を整理
利用目的、利用シーン、利用ユーザのヒアリングを行い、レポートの活用イメージを具体化します。要件整理が不十分だと、事業ニーズとの齟齬が発生するため、レポートの修正が多く発生したり、活用されないなどの情報も発生する可能性があります。 -
ステップ3.レポートのレイアウトイメージの作成
整理したKPIと活用要件をもとに、レイアウトのイメージを作成します。関係者で最終的なすり合わせを行います。 -
ステップ4.データの整理、計測ツールの設定
どのデータソースを参照するのかを整理し、必要に応じて計測環境を整えていきます。計測環境の整備の代表的な例としては、GA4やGTMでのカスタム変数やイベントの設定などです。 -
ステップ5.データの収集・BI構築
計測データ、予算データを収集してBIツールに連携し、整理した要件に基づいて集計・レイアウトを作成します。 -
ステップ6.オンボーディング
完成したレポートをもとにして、社内の利用者向けに利用方法の説明を行います。
3.KPI管理レポートの完成形
3-1.完成図
3-2.レポートの活用例
- 定例会議での数字進捗の確認
- マーケティングチームや経営陣は、定例会議でマルチチャネルダッシュボードを使用してキャンペーンの進捗状況や成果を確認します。リアルタイムのデータ可視化により、迅速な意思決定が可能となります。
- 運用担当者が、各施策の進捗確認、傾向分析を行いPDCAサイクルを回す
- マルチチャネルダッシュボードを活用することで、各広告チャネルの運用担当者はデータを分析し、施策の効果を評価し、PDCAサイクルを迅速に回すことができます。これにより、施策の最適化が行われ、効果的なマーケティング戦略が実現します。
4. レポートの構築方法(例:KPI目標管理シート x GA4データの場合)
4-1.KPI目標管理シートの作成
KPI管理レポートを構築するためには、KPI目標管理シートを作成します。このシートは、レポート上で目標対比を集計するためのデータを提供します。スプレッドシートをおすすめしますが、Looker Studioに直接接続できるため、他のデータソースとも紐づけることができます。
必ず縦列を日付、横列をカテゴリ・指標で作成してください。
例:
日付 | 流入種別 | 売上目標 | CV目標 | CPA目標 |
---|---|---|---|---|
yyyy/mm/dd | 流入経路A | 3,000,000円 | 600件 | 2,500円 |
yyyy/mm/dd | 流入経路B | 1,500,000円 | 300件 | 2,000円 |
4-2 KPI管理シートとGA4をLooker Studioに連携
KPI目標管理シートとGoogle Analytics 4(GA4)データをLooker Studioに連携させます。
4-3 混合データの作成
KPI管理レポートの基礎となる混合データを作成し、必要なデータを結合します。
4-5 可視化
最終的に、Looker Studioを使用してデータを可視化し、KPI管理レポートを作成します。
関連記事
・【LookerStudio作成と活用】キーワード別ユーザー行動分析
・【GA4×サーチコンソール】検索での流入〜サイト内行動まで効果的に分析する方法
4.まとめ
本記事では、KPI管理レポートの制作方法について詳しく解説しました。データ駆動の意思決定を追求する中で、手作業のデータとGA4のような自動収集データを一元的に管理・可視化することは、業務の効率化や正確な戦略策定のために非常に重要です。
この知識を活かし、実際のビジネスシーンでのデータ活用を進めることで、業績の向上や新しい戦略の策定など、さまざまな可能性を広げることができるでしょう。KPI管理レポートの制作は、データを活用した意思決定の一歩として、非常に価値のある取り組みです。
atarayoでは、ダッシュボードの構築からデータを活用したマーケティング支援まで幅広くサポートしております。もし、GA4の設定やデータ分析に関してのサポートが必要な場合は、お気軽に下のボタンからお問い合わせください。